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推しがかわいい

MORSE感想文ー少年は寒空の下で何を思うー

今日は12月13日。MORSEの大千秋楽日です。

まずはのんちゃん、全35公演お疲れ様でした。身長180超えの身長の貴方が12歳の役をやると聞いた時には驚きましたが、動作一つ、表情一つとっても全世界の12歳に引けを取らないくらい12歳でした。

先に東京公演に行ってきた友人の話を聞いてこれは終演後お通夜だな…と思っていたら、案外そうでもなかったです。爽やかな鬱でした(??)。
ラストのシーンはなんだか色々と考えさせられるものがあり、その後の空白のオスカーとエリの物語なんかも頭に浮かんできました。

とりあえず大千秋楽を迎えたということで、ネタバレなぞを含んだ感想を印象に残ったシーンと共に書いていけたらいいなと思います。
記憶があやふやでもしかしたら場面が前後することがあるかもしれないけどそこはごめんね。

スウェーデンストックホルム郊外の小さな町に住む、のんちゃん演じるオスカーと、オスカー母子の隣の部屋に引っ越してきた水上さん演じるエリを中心に物語は進んでいきます。
大まかなあらすじとしては、学校の同級生からいじめにあっていたオスカーはある日、団地の中庭で一人の少女に出会います。
少女の名はエリ。オスカーは彼女に接していくうちに、彼女にも自分と同じように孤独な心を抱えているように見え、しだいに惹かれていきます。しかしエリ、そして彼女の父親らしき人物ホーカンには誰にも知られてはいけない大きな秘密がありました。その秘密を知ってしまった時、オスカーは一体どうするのか…。
みたいな感じです。

公演は一幕と二幕に分かれており、間に20分休憩が入るといった構成でした。一幕だいたい1時間とちょっとでしたが、舞台が始まり客電が消えた後、物語に引き込まれ時間はあっという間に過ぎていきました。

冒頭、薄暗い照明の中縦長のガラスケースに入れられたオスカーが出てきます。上には何も着ておらず、水着?みたいなパンツみたいなものだけを身につけてコンコン、とガラスを叩いていました。
「…なんだよ、こっち見るなよ。豚、豚!」と怒っているような、それでいてどこか苦しそうな表情で叫び、そのまま照明は落ちます。
この後友人からの情報でわかったことなのですが、この時オスカーはガラスでモールス信号を出していたようです。それも「SOS」のサインを。
執拗にいじめられ、助けてくれる人もいない中彼が出せる精一杯のサインだったのでしょう。
今すぐそのガラス叩き割って助けてあげたい。

そんなこんなで物語は進んでいきます。学校ではいじめっこヨンニとスネ夫的存在のミッケにそれいじめってレベルに収まるのか?っていうくらいケツひん剥かれてケツバット(SEめっちゃ痛そう)されたりしていました。

ここまでで2.3回くらい場転があったのですが、暗転せずに照明を薄暗くしてその中でどんどん転換するのはやっぱりプロの舞台だなあと思いました。プロってすげえ…。一回暗転させるよりもこっちの方が好きです。いやそんな話はどうでもいいんだよ。

印象に残ったシーンとしてはまず、殺害シーン。ホーカンに殺される少年、エリに殺される酔っ払いのおじさんどちらも殺され方が生々しく、首を切られ流れ出る血、腹から引きずり出される腸、どれもリアリティーがあり見入ってしまいました。
休憩中に床掃除をする裏方さんを見てちょっと笑ってしまったのは内緒。

そして次にホーカンに更衣室で襲われるヨンニのシーン。ここでヨンニに対する印象がガラッと変わりました。めっちゃ可愛かったです。ヨンニも自担の仲間入り。
ホーカンにガスで気絶させられた後、宙釣りにされた状態で目が覚めるヨンニ。大声で助けを呼び、泣き喚きます。可愛い。なんというか上手く言えないけど、ヨンニもまだまだ幼い子供なんだなあと思いました。これは終盤のインミとのやりとりでもそう感じることがありました。
学校では偉そうにミッケを従え、オスカーをいじめるヨンニですが、兄であるインミには敵わない。自分がオスカーに怪我をさせられたことでインミが怒り、オスカーを酷い目に遭わせる場面でも泣きそうになりながらも止められない。怒ったインミは怖いし、自分はそれに逆らえないのだから。
母子家庭育ちということもあり、彼にも抱えているものがいっぱいあるのだろうなと思います。それはインミもまた然り。
さらに言えばオスカーやエリ、インミ兄弟だけでなく、みんな様々な複雑なものを抱えてながら生きている。脚本上悪人に見えてしまう人物もいますが、しっかりと見つめるとそれぞれが色々な事情、感情を抱えているように見えてくる。
そう考えると、どの人物も愛おしく思えてくるのではないでしょうか。

ラストのシーン、オスカーは旅に出ます。これまでの思い出、未来への期待や不安、自分の気持ち、持っている全てのものををエリと共に木箱に詰めて。
旅に出た2人はこの先どうなるのか。それは私にはわかりません。幸せな道を歩むのか、はたまたホーカンの時と同じような結末になってしまうのか。

「愛だけではどうにもならない」
エリを残し老いていくオスカーが、エリにこの言葉を突きつけられる日が来ないことを。純粋な2人が幸せな道を歩んでいけるよう、心の中でひっそりと祈ります。

寒空の下、長くなるであろう旅に出た少年は一体何を思ったのか。それはきっと永遠にわかりません。
とにかく私は2人の幸せを願うのみです。
孤独な彼らに、幸多からんことを。


最後に一緒に行ってくれたぴかりん、チケットを当ててくださった姐さん、そしてチケット取りに協力してくださった皆さん本当にありがとうございました!!

そしてのんちゃん初め、出演者の皆様、スタッフさんも2ヶ月という長丁場お疲れ様でした。素敵な作品に出会えてよかったです。

                                     おしまい